「トクシンベトナム」を設立 図面作成を受注展開 トクシンテクノ(香川) 香川県の階段や手すり専業のファブとして知られるトクシンテクノ(仲多度郡多度津町西港町、小林有二社長)は、昨年、ベトナムの首都ハノイに図面作成専門の「トクシンベトナム」を開設した。同社をはじめ鉄骨ファブリケーターを顧客とし、階段や手すりなど鉄骨工業の付帯金物の部品図や施工図の作成業務を行う。 トクシンベトナムの特徴は、ベトナムのハイレベルな工業系大学を卒業したエンジニアを採用し、ハノイ事務所で1年働きながら日本語と仕事を身につけた後、日本で1~2年の図面作成の経験を積み、その後にハノイ事務所で勤務する社員教育システム。「日本で技術教育を行うことで、ベトナムで国内と変わらないレベルの図面作成を行うことができる」(小林社長)。 現在の陣容は、日本で2年間の勤務経験があるアン氏が社長に、同じくアイン氏が副社長に、1年間の経験があるフォン氏が部長に就き、現地スタッフ9名を加えた12名体制。今年から本格的な営業を開始し、取引先を増やす方針。 ベトナムで事業を行う意義について「物価や平均賃金の差を活かすことができる。さらに、ハイレベルな大学を卒業した人材を雇うことができる」(同)という。また、人材確保について「今後、現地スタッフを20名程度まで増やしたい。現地のハイレベルな大学を募集先としているため、学習の習慣が身についている人が多い。さらに生まれつき頭の回転が速い人が多く、日本へ留学に来る人より優秀で貴重な戦力だ」と期待している。 さらに、物価や平均的賃金の差に関して「日本で勤務する時は、もちろん日本の大卒者の平均的な給与、約20万円程度を支払う。だがベトナム勤務の時は、物価の差などを考慮して8万円ほどになる。ベトナムの大卒者の平均賃金は3~4万円であり、育成コストを考慮しても優秀な社員を確保できる」とし、不公平感のない賃金バランスを整えた。 ●…人材マッチング事業を展開 トクシンテクノを中心とするトクシングループ(小林有二社長)は、日本の企業とベトナムの高度人材をマッチングする事業を開始、各地でセミナーを開催している。 マッチング事業は、愛媛県のウォンズ(宇和島市新田町、二宮徳仁社長)と連携した事業で、会社の中心となる人材を求めている企業に向け、雇用期間の限定される実習生ではなく、就労ビザによる雇用の方法や育成などを支援する。 小林社長は「技能実習生では就労期間が決められているため、企業の重要な社員になることができない。しかし、会社の将来を担う人材は事業継続には不可欠であり、そこには高度な人材が求められている。そのため、ベトナムの上位校を卒業した人と日本の企業とをつなげ、優秀な人材を確保することで企業力の向上につなげたい」としている。 セミナーでは小林社長が行っている採用方法や育成方法などを紹介する。今後は3月22日に高松市、3月26日に愛媛県松山市で行う予定で、詳細は同社HPに掲載。また、ベトナムスタッフのインタビューをYoutubeで公開している。